高いシステムを入れたのに、Excelが残っている
よくある場面
生産管理システムや勤怠管理ツールを導入したのに、気づいたら以前のExcelも並行して使っている——そんな状況に心当たりはないでしょうか。
「導入したシステムが現場に定着しない」という問題は、一社だけの話ではありません。ERP(統合基幹業務システム)の導入成功率は、調査機関によってはかなり低い数字が報告されており、多くの企業で「導入はしたが、期待した効果が得られなかった」という結果になっています。
パッケージソフトは「あなたの会社向け」ではない
既製のパッケージソフトは、さまざまな業種・規模の企業に使えるよう設計されています。つまり、特定の会社の業務フローに合わせて作られたものではありません。
欧米で開発された主要なERPパッケージは、欧米の商習慣を前提としています。日本固有の業務——月末締め翌月払い、取引先ごとに異なる帳票フォーマット、複数の承認を経る稟議フロー——は、多くの場合そのままでは対応できません。
実際に、パッケージと自社業務の差異を埋めるために膨大な追加開発を余儀なくされた事例も報告されています。これほどのカスタマイズが必要になると、パッケージ本来のメリットである「標準化」「保守のしやすさ」が失われていきます。
特に製造業では、品種・工程・顧客仕様が複雑な「多品種少量生産」をとる企業が多く、汎用パッケージとのズレが生じやすい構造があります。
「業務をシステムに合わせる」は正論だが、現実は難しい
パッケージ導入の際、「業務の方をシステムに合わせるべき」とアドバイスされることがあります。業務を標準化するという意味では正しい考え方です。
ただし現実には、長年培ってきた業務フローや、顧客との取り決めはそう簡単には変えられません。現場の担当者からすれば「自分たちの仕事のやり方に合っていないシステムを、無理して使う」という状況になります。
これが「定着しない」の正体です。
受託開発のシステムが定着しやすい理由
専用システムをゼロから開発する受託開発は、発想が逆です。「今の業務フローをそのままシステムに落とし込む」ことを出発点にします。
それだけではありません。要件定義のプロセスで、担当者や現場の方と「この業務の何が課題で、どう変えたいか」を丁寧に言語化します。このプロセス自体が、業務改善の第一歩になります。自分たちの意見が反映されたシステムは、現場に受け入れられやすくなります。
- 汎用設計のため自社業務と差異が生まれやすい
- カスタマイズに追加コストが発生
- 現場が「使いにくい」と感じると定着しない
- 標準的な業務には向いている
- 今の業務フローをそのまま落とし込む
- 要件定義で課題を一緒に整理できる
- 現場の意見が反映され定着しやすい
- 独自の業務フローがある場合に強い
もちろん、パッケージソフトが適している場面もあります。業務が標準的で、カスタマイズの必要が少ない場合は、パッケージの方がコストと導入スピードの面で有利です。
まとめ:ツールを選ぶ前に、まず「何を変えたいか」を整理する
| パッケージソフト | 受託開発 | |
|---|---|---|
| 自社業務への適合 | △(カスタマイズに限界) | ◎(業務に合わせて設計) |
| 導入コスト・期間 | ◎(早く・安く) | △(時間とコストがかかる) |
| 定着のしやすさ | △(業務を合わせる必要がある) | ◎(業務フローに沿っている) |
| 向いているケース | 標準的な業務が多い | 独自の業務フローがある |
「システムを入れれば変わる」ではなく、「業務の何を変えるか」を最初に整理すること——これがDX推進を失敗させないための一番の近道です。